1次方程式
【方程式】
≪方程式と恒等式≫
ここに、2つの等式があります。いずれも、文字\(~x~\)の等式ですが、2つの等式の違いは何でしょう。
① \(2x+5=11\)
② \(2x+5x=7x\)
それぞれの等式に、\(x=1~,~2~,~3~,~4~,\)・・・を順に代入してみましょう。
①は、\(x=3~\)のときだけ成り立ちます。②は、\(x~\)にどんな値を代入しても成り立ちます。
①のように、\(x=~\)がある特定の値のときだけ成り立つ等式を、
\(x~\)についての「方程式」といいます。
②のように、\(x~\)がどんな値のときでも成り立つ等式を、
\(x~\)についての「恒等式(こうとうしき)」といいます。
上の例では、\(x~\)に整数を代入しましたが、恒等式は、\(x~\)が小数や分数、無理数でも成り立ちます。
≪方程式を解く≫
\(x~\)についての方程式を成り立たせる\(~x~\)を、その方程式の「解(かい)」といいます。
方程式の解を求めることを「方程式を解く」といいます。
方程式を解くときは、等式の性質を利用して、式を変形して解くことができます。
≪等式の性質≫
等式には、次の性質があります。方程式を解くときにはこの性質を利用します。
① 等式の両辺に同じ数(式)を加えても、等式は成り立つ。 \(~A=B~\)ならば\(~A+C=B+C\)
② 等式の両辺から同じ数(式)をひいても、等式は成り立つ。 \(~A=B~\)ならば\(~A-C=B-C\)
③ 等式の両辺に同じ数(式)をかけても、等式は成り立つ。 \(~A=B~\)ならば\(~AC=BC\)
④ 等式の両辺を同じ数(式)でわっても、等式は成り立つ。 \(~A=B~\)ならば\(~\displaystyle\frac{A}{C}=\frac{B}{C}~(C≠0)\) |
例1
\(x-3=4\) 両辺に\(~3~\)を加える。
\(x=7\)
例2
\(x+5=2\) 両辺から\(~5~\)をひく。
\(x=-3\)
例3
\(\displaystyle\frac{x}{3}=4\) 両辺に\(~3~\)をかける。
\(x=12\)
例4
\(-4x=20\) 両辺を\(~-4~\)でわる。
\(x=-5\)
≪移項≫
等式の性質①、②を利用して、等式の左辺にある項を右辺に、右辺にある項を左辺に移すことを「移項(いこう)」といいます。
移項をするときは、プラス(+)、マイナス(-)の符号を変えます。
例1
\(2x+4=6\)
左辺の\(~+4~\)を右辺に移項する。
(両辺から\(~4~\)を引く)
\(2x=6-4\)
\(2x=2\)
\(x=1\)
例2
\(3x-6=4x+2\)
\(-6~\)と\(~+4x~\)を、それぞれ移項する。
\(3x-4x=2+6\)
\(-x=8\)
両辺を\(~-1~\)でわる。
\(x=-8\)
【1次方程式の解き方】
\(x~\)の次数が1次である方程式を、\(x~\)についての「1次方程式」といいます。
1次方程式は、次の手順で解くことができます。
① かっこのある式は、かっこをはずす。 ② 移項をして、左辺を\(~x~\)の項、右辺を定数項にする。 ③ 両辺を\(~a~\)でわる。 |
例1
\(4(x-3)=-2x\)
かっこをはずす。
\(4x-12=-2x\)
\(-12~\)と\(~-2x~\)をそれぞれ移項する。
\(4x+2x=12\)
\(6x=12\)
\(x=2\)
例2
\(3(2-3x)=-4-7(x-2)\)
かっこをはずす。
\(6-9x=-4-7x+14\)
移項する。
\(-9x+7x=-4+14-6\)
\(-2x=4\)
\(x=-2\)
係数に分数や小数がある場合は、整数に直すと効率よく解ける場合があります。 |
例1
\(\displaystyle\frac{3}{2}x+3=\frac{2}{3}x+\frac{1}{2}\)
両辺に\(~6~\)をかける。
\(9x+18=4x+3\)
移項する。
\(9x-4x=3-18\)
\(5x=-15\)
\(x=-3\)
例2
\(\displaystyle\frac{2x-5}{4}=\frac{1-4x}{3}+3\)
両辺に\(~12~\)をかける。
(\(~12~\)は分母の最小公倍数)
\(3(2x-5)=4(1-4x)+36\)
かっこをはずす。
\(6x-15=4-16x+36\)
移項する。
\(6x+16x=4+36+15\)
\(22x=55\)
\(x=\displaystyle\frac{55}{22}\)
\(x=\displaystyle\frac{5}{2}\)
例3
\(2.3(x-2)=1.7+0.2x\)
両辺に\(~10~\)をかける。
\(23(x-2)=17+2x\)
かっこをはずす。
\(23x-46=17+2x\)
移項する。
\(23x-2x=17+46\)
\(21x=63\)
\(x=3\)