連立方程式
【連立方程式とは】
2つ以上の方程式を組み合わせたものを「連立方程式」といいます。
このうち、2つの文字を含む1次方程式を組み合わせたものを「連立2元1次方程式」といいます。
連立2元1次方程式の例
\(~~~\begin{cases}
x+2y=10&・・・①\\
3x-y=9&・・・②
\end{cases}\)
①の方程式を成り立たせる\(~x~\)と\(~y~\)の組は無数にあります。
\((x,y)=(2,4)~,~(4,3)~,~(6,2)~,~(-8,9)~,~(5,\displaystyle\frac{5}{2})~\)など。
同じように、②の方程式を成り立たせる\(~x~\)と\(~y~\)の組も無数にあります。
\((x,y)=(3,0)~,~(4,3)~,~(5,6)~,~(-1,12)~,~(4.2~,~3.6)~\)など。
これらの組のうち、①と②を同時に成り立たせるものを「連立方程式の解」といいます。
\(x=4\)、\(y=3~\)は、①と②を同時に成り立たせるので、この連立方程式の解です。
【連立方程式の解き方】
連立方程式を解くには、2つの文字のうち、どちらか一方の文字を「消去」して、1つの文字の方程式をつくります。
文字を消去するのには、いくつかの方法があります。
≪代入法≫
「代入法」による解き方
(1) どちらか一方の方程式を変形して、\(y=・・・\)(または、\(x=・・・\))のかたちにする。 (2) それを、他方の方程式に代入して、\(x\)(または、\(y~\))だけの方程式にする。(\(y\)(または、\(x~\))の消去) (3) その方程式を解いて、\(x\)(または、\(y~\))の値を求める。 (4) その値を、(1) の方程式に代入して、\(y\)(または、\(x~\))だけの方程式にする。 (5) その方程式を解いて、\(y\)(または、\(x~\))の値を求める。 |
例題1
\(\begin{cases}
x+2y=10&・・・①\\
3x-y=9&・・・②
\end{cases}\)
②より、
\(y=3x-9\) ・・・②’
これを①に代入する。
\(x+2(3x-9)=10\)
\(x+6x-18=10\)
\(7x=28\)
\(x=4\)
これを、②’に代入する。
\(y=3×4-9\)
\(y=3\)
[答]\(\begin{cases}
x=4\\
y=3
\end{cases}\)
例2
\(\begin{cases}
x+y=5&・・・①\\
3x-2y=20&・・・②
\end{cases}\)
①より、
\(y=5-x\) ・・・①’
これを②に代入する。
\(3x-2(5-x)=20\)
\(3x-10+2x=20\)
\(5x=30\)
\(x=6\)
これを、①’に代入する。
\(y=5-6\)
\(y=-1\)
[答]\(\begin{cases}
x=6\\
y=-1
\end{cases}\)
≪加減法≫
「加減法」による解き方
(1) \(y\)(または、\(x~\))の係数が同じになるように、それぞれの方程式の両辺に適当な数をかける。 (2) それらの方程式を加えて(または、一方から他方を引いて)、\(x\)(または、\(y~\))だけの方程式にする。(\(y\)(または、\(x~\))の消去) (3) その方程式を解いて、\(x\)(または、\(y~\))の値を求める。 (4) その値を、もとのどちらかの方程式に代入して、\(y\)(または、\(x~\))だけの方程式にする。 (5) その方程式を解いて、\(y\)(または、\(x~\))の値を求める。 |
例1
\(\begin{cases}
x+2y=10&・・・①\\
3x-y=9&・・・②
\end{cases}\)
(\(y~\)の係数をそろえるために②の両辺に\(~2~\)をかける)
②\(×2\)
\(6x-2y=18\) ・・・②’
(\(y~\)を消去するために、①と②’を加える。)
①+②
\((x+2y)+(6x-2y)=10+18\)
\(7x=28\)
\(x=4\)
これを、②に代入する。
\(3×4-y=9\)
\(y=3\)
[答]\(\begin{cases}
x=4\\
y=3
\end{cases}\)
例2
\(\begin{cases}
5x+2y=4&・・・①\\
2x+3y=-5&・・・②
\end{cases}\)
①\(×3\)
\(15x+6y=12\) ・・・①’
②\(×2\)
\(4x+6y=-10\) ・・・②’
①’-②’
\(11x=22\)
\(x=2\)
これを、①に代入する。
\(5×2+2y=4\)
\(2y=-6\)
\(y=-3\)
[答]\(\begin{cases}
x=2\\
y=3
\end{cases}\)
≪いろいろな連立方程式≫
① 係数が分数である連立方程式
係数に分数が含まれる場合は、両辺を何倍かして、係数を整数にすると解きやすくなります。
例
\(\begin{cases}
\displaystyle\frac{2}{3}x-\frac{y}{4}=\frac{5}{2}&・・・①\\
\displaystyle\frac{x-1}{2}+\frac{y+5}{3}=2&・・・②
\end{cases}\)
①\(×12\)
\(8x-3y=30\) ・・・③
②\(×6\)
\(3(x-1)+2(y+5)=12\)
\(3x-3+2y+10=12\)
\(3x+2y=5\) ・・・④
③\(×2+\)④\(×3\)
\(25x=75\)
\(x=3\)
これを、④に代入する。
\(9+2y=5\)
\(2y=-4\)
\(y=-2\)
[答]\(\begin{cases}
x=3\\
y=-2
\end{cases}\)
② A=B=C のかたちの連立方程式
3つの式の中から2つを組み合わせて、2つの方程式をつくります。
例
\(x-2y-3=2x+y+4=3x+2y+5\)
次のように組み合わせる。
\(\begin{cases}
x-2y-3=2x+y+4&・・・①\\
x-2y-3=3x+2y+5&・・・②
\end{cases}\)
①より
\(x+3y=-7\) ・・・③
②より
\(2x+4y=-8\) ・・・④
③\(×2-\)④
\(2y=-6\)
\(y=-3\)
これを、③に代入する。
\(x-9=-7\)
\(x=2\)
[答]\(\begin{cases}
x=2\\
y=-7
\end{cases}\)
③ 分母に\(~x~\)、\(y~\)がある方程式
\(\displaystyle\frac{1}{x}\)、\(\displaystyle\frac{1}{y}~\)を他の文字に置きかえると、計算しやすくなります。
例
\(\begin{cases}
\displaystyle\frac{4}{x}-\frac{1}{y}=\frac{1}{2}&・・・①\\\\
\displaystyle\frac{1}{x}+\frac{2}{y}=-\frac{1}{4}&・・・②
\end{cases}\)
\(\displaystyle\frac{1}{x}=X\)、\(\displaystyle\frac{1}{y}=Y~\)とすると、
①は、
\(4X-Y=\displaystyle\frac{1}{2}\) ・・・①’
②は、
\(X+2Y=-\displaystyle\frac{1}{4}\) ・・・②’
となる。
①’\(×2+\)②’
\(9X=\displaystyle\frac{3}{4}\)
\(X=\displaystyle\frac{1}{12}\)
これを、②’に代入する。
\(\displaystyle\frac{1}{12}+2Y=-\frac{1}{4}\)
\(2Y=-\displaystyle\frac{1}{3}\)
\(Y=-\displaystyle\frac{1}{6}\)
\(x=\displaystyle\frac{1}{X}\)、\(y=\displaystyle\frac{1}{Y}~\)だから、
\(x=12\)、\(y=-6\)
[答]\(\begin{cases}
x=12\\
y=-6
\end{cases}\)
④ 連立3元1次方程式
3つの文字を含む1次方程式を組み合わせたものを「連立3元1次方程式」といいます。
連立3元1次方程式で、解がただ1つに決まるためには、方程式が3つ必要です。
連立3元1次方程式では、まず、1つの文字を消去し、連立2元1次方程式にして解を求めます。
例
\(\begin{cases}
2x+y-3z=8&・・・①\\
-x-2y+2z=1&・・・②\\
3x-y+z=11&・・・③
\end{cases}\)
まず、\(y~\)を消去する。
①\(×2+\)②
\(3x-4z=17\) ・・・④
①+③
\(5x-2z=19\) ・・・⑤
④-⑤\(×2\)
\(-7x=-21\)
\(x=3\)
これを、⑤に代入する。
\(15-2z=19\)
\(-2z=4\)
\(z=-2\)
求めた\(~x\)、\(z~\)の値を①に代入する。
\(6+y+6=8\)
\(y=-4\)
[答]\(\begin{cases}
x=3\\
y=-4\\
z=-2
\end{cases}\)