SPI~損益算Ⅰ~
ことばの意味[原価・定価・売価・利益]
損益算では、公式を覚えることも大切ですが、まず、ことばの意味を理解してください。
損益算には、「仕入れ値」「定価」「利益」などのことばが出てきます。これらは、小売業など物品の販売に関することばです。
小売業では「安く仕入れて、高く売る」、これが基本です。そして、その差額が「利益」になります。
商品を売るときには、原価(仕入れ値)にいくらかの利益を見込んで定価をつけます。定価から値引きをして販売をすることもあるので、売価(売り値)は定価より安くなります。これらの値段の関係は次のようになります。
原価・・・小売店が卸売(おろしうり)業者から商品を買い入れた値段。仕入れ値ともいう。 定価・・・原価にいくらかの利益を見込んでつけた値段。 売価・・・実際に商品を売った値段。売り値ともいう。定価と同じときもあるが、値引きをすると定価より安い値段になる。 |
利益には「見込みの利益」と「実際の利益」があります。まちがえないようにしましょう。
値引きをせずに、定価で販売したときはどちらの利益も同じ額ですが、値引きをしたときは、見込みの利益よりも、実際の利益のほうが額が小さくなります。
利益(見込みの利益)・・・定価と原価の差額 [利益(見込みの利益)]=[定価]-[原価] 利益(実際の利益)・・・売価と原価の差額 [利益(実際の利益)]=[売価]-[原価] |
利益は割合で表示される
SPIの問題では、利益や値引きは、多くの場合、金額ではなく割合で表示されます。
(例)
原価の\(~25%\)の利益を見込んで定価をつけた。
原価に対して\(~1割2分\)の利益があった。
定価の\(~1割\)引きで販売した。
計算をするときは、小数に直して計算します。元の数に割合をかけます。
(例)
原価の\(~2割\)の利益
→ \([利益]=\)\([原価]×0.2\)
定価は原価の\(~2割\)増し
→ \([定価]=[原価]×(1+0.2)=\)\([原価]×1.2\)
定価の\(~2割\)引きで販売
→ \([売価]=[定価]×(1-0.2)=\)\([定価]×0.8\)
原価、定価、売価の関係
[利益]=[原価]×[利益率] |
[定価]=[原価]+[見込みの利益] [定価]=[原価]×(1+[利益率]) |
[売価]=[定価]-[値引き額] [売価]=[定価]×(1-[値引き率]) |
[売価]=[原価]+[実際の利益] [売価]=[原価]×(1+[利益率]) |
例題
例題 ある商店では、原価の\(~3割5分\)の利益を見込んで定価をつけている。 (1) 定価が\(~1890円\)の商品の原価はいくらか。 |
解法
(1)
原価の\(~3割5分\)、つまり、原価の\(~0.35倍\)を上乗せしたものが定価なので、定価は原価の\(~1.35\)倍です。
\(定価=原価×(1+0.35)\\=原価×1.35\)
かけ算の逆算は割り算なので、原価は次のようにして求めます。
\(原価=定価÷1.35\\=1890円÷1.35\\=1400円\)
[答] \(1400円\)
例題(続き) ある商店では、原価の\(~3割5分\)の利益を見込んで定価をつけている。 (2) 定価が\(~2700円\)の商品を\(~20%\)引きで販売すると、利益はいくらになるか。 |
解法
(2)
実際の利益を求める問題です。
実際の利益は、売価-原価、なので、売価と原価が分かれば利益が出ます。
定価の\(~20%\)引きで販売したので、売価は定価の\(~0.8倍\)です。
\(売価=定価×(1-0.2)\\=定価×0.8\\=2700円×0.8\\=2160円\)
原価は、(1)と同様に求めることができます。
\(原価=定価÷1.35\\=2700円÷1.35\\=2000円\)
\(利益=売価-原価\\=2160円-2000円\\=160円\)
[答] \(160円\)
例題(続き) ある商店では、原価の\(~3割5分\)の利益を見込んで定価をつけている。 (3) ある商品を定価の\(~1割\)引きで販売したところ、利益は\(~430\)円であった。この商品の原価はいくらか。 |
解法
(3)
原価の\(~3割5分\)増しで定価をつけたものを\(~1割\)引きで売ったのだから、売価は次のようになります。
\(売価=定価×(1-0.1)\\=原価×(1+0.35)×(1-0.1)\\=原価×1.35×0.9\\=原価×1.215\)
\(1.215=1+0.215\) なので、原価に\(~2割1分5厘(21.5%)\)を上乗せして販売したことになります。
\(利益=原価×0.215\)
よって、
\(原価=利益÷0.215\\=430円÷0.215\\=2000円\)
[答] \(2000円\)
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