数の性質
【素数】
\(2\)以上の整数のうち、\(1\)とその数自身のほかに約数がない数のことを「素数(そすう)」といいます。
例えば、「\(7\)」は、\(1\)と\(7\)のほかには約数がないので素数です。「\(10\)」は、\(1\)と\(10\)のほかに、\(2\)や\(5\)も約数なので素数ではありません。
<エラトステネスのふるい>
素数を求める方法のひとつに「エラトステネスのふるい」があります。この方法では、次のようにして素数を求めることができます。
① \(1\)を消す。
② \(2\)を残して、\(2\)の倍数を消す。
③ \(3\)を残して、\(3\)の倍数を消す。
④ 残った数のうち、最も小さい数を残して、その数の倍数を消す。
⑤ ④の操作を繰り返す。
この方法により、\(1\)から\(100\)までの整数のなかに、素数は\(25\)個あることがわかります。図の○が素数です。
▪エラトステネス(B.C.275-B.C.194) ギリシャの学者。ヘレニズム時代のエジプトで活躍。数学や天文学など多岐にわたる分野で大きな業績を残した。
▪ふるい(篩) 粉や粒状のものを選別する網状の道具
\(1\)は素数には含みません。
\(2\)は素数の中でただ一つの偶数です。\(2\)以外の素数はすべて奇数です。
【素因数分解】
1つの整数が、2つ以上の整数の積で表されるとき、その一つ一つの整数のことをもとの整数の「因数(いんすう)」(または約数)といいます。
例1
\(15=5×3 → 5~と~3~は~15~の因数\)
例2
\(80=10×2×4 → 10~と~2~と~4~は~80~の因数\)
因数のうち、素数であるものを「素因数(そいんすう)」といい、整数を素因数の積で表すことを「素因数分解」するといいます。
例1
\(90=2×3×3×5=2×3^2×5\)
例2
\(504=2×2×2×3×3×3×7=2^3×3^2×7\)
素因数分解するときは、図のように、もとの整数を素数で次々にわっていき、商が素数になったらそこでわり算を終わります。
【約数・倍数】
≪約数≫
整数\(~a~\)が整数\(~b~\)でわり切れるとき、\(~b~\)を\(~a~\)の「約数」といいます。
\(12÷4=3~\)なので、\(~4~\)は\(~12~\)の約数です。
また、\(12÷3=4~\)でもあるので、\(~3~\)も\(~12~\)の約数です。
\(12÷2=6~\)なので、\(~2~\)と\(~6~\)も\(~12~\)の約数です。
\(12÷1=12~\)なので、\(~1~\)と\(~12~\)も\(~12~\)の約数です。
(\(~1~\)とその数自身も約数です。)
ある整数を素因数分解することにより、その整数のすべての約数を求めることができます。
\(36=2×2×3×3~\)だから、
\(36~\)の約数は次のようにして求められます。
\(1~,~2~,~3~,~2×2=4~,~2×3=6~,\\3×3=9~,~2×2×3=12~,\\2×3×3=18~,~2×2×3×3=36\)
\(36\) の約数は、\(1~,~2~,~3~,~4~,~6~,~9~,~12~,~18~,~36\) の9個です。
(注意) \(~1~\)と\(~36~\)も\(~36~\)の約数であることを忘れないようにしましょう。
≪公約数・最大公約数≫
2つ以上の整数があり、それぞれの整数の約数のうち共通のものを「公約数」といいます。
公約数の中で最大のものを「最大公約数」といいます。
例1
\(12~\)の約数:\(1~,~2~,~3~,~4~,~6~,~12~\)
\(18~\)の約数:\(1~,~2~,~3~,~6~,~9~,~18~\)
公約数:\(1~,~2~,~3~,~6\)
最大公約数:\(6\)
例2
\(12~\)の約数:\(1~,~2~,~3~,~4~,~6~,~12\)
\(35~\)の約数:\(1~,~5~,~7~,~35\)
公約数:\(1\)
(例2)のように、\(1~\)以外に公約数がないとき、この2つの整数は「互いに素(たがいにそ)」であるといいます。\(12~\)と\(~35~\)は互いに素です。
≪倍数≫
整数\(~a~\)と整数\(~b~\)の積\(~a×b~\)を、\(~a~\)の「倍数」といいます。また、\(~a×b~\)は、\(~b~\)の倍数でもあります。
\(3~\)の倍数を小さい順に並べると次のようになります。
\(0~,~3~,~6~,~9~,~12~,~15~,~18~,~21~,~24,~・・・\)(限りなくある)
\(0=3×0\) なので、\(0~\)も\(~3~\)の倍数です。\(0~\)はすべての整数の倍数です。
\(3=3×1\) なので、\(3~\)も\(~3~\)の倍数です。その数自身も倍数です。
≪公倍数・最小公倍数≫
2つ以上の整数があり、それぞれの整数の倍数のうち共通のものを「公倍数」といいます。
公倍数の中で最小のものを「最小公倍数」といいます。
例
\(6~\)の倍数:\(0~,~6~,~12~,~18~,~24~,~30~,~36~,~42~,~48~, ・・・\)
\(4~\)の倍数:\(0~,~4~,~8~,~12~,~16~,~20~,~24~,~28~,~32~,~36~,~40~, ・・・\)
公倍数:\(12~,~24~,~36~, ・・・\)
最小公倍数:\(12\)
(公倍数や最小公倍数を考えるときには、\(0~\)は除きます。)