多項式

【多項式の計算】

≪多項式と単項式の乗法≫

(単項式)\(×\)(多項式)、(多項式)\(×\)(単項式)は、分配法則を利用して計算します。

分配法則

\(~(a+b)c=ac+bc\)

\(~a(b+c)=ab+ac\)

 

例1

\(3a(4b−2)\)

\(~=3a×4b−3a×2\)

\(~=12ab−6a\)

 

例2

\((2x−y+3z)×(−2x)\)

\(~=2x×(−2x)−y×(−2x)+3z×(−2x)\)

\(~=−4x^2+2xy−6xz\)

 

加減が混じる式では、乗法の部分を先に計算します。同類項があればまとめます。

例3

\(3a(4a−2b)−4b(2a+b)\)

\(~=3a×4a+3a×(−2b)\\~~~~~+(−4b)×2a+(−4b)×b\)

\(~=12a^2−6ab−8ab−4b^2\)

\(~=12a^2−14ab−4b^2\)

 

分数が混じる式では、通分して計算します。

例4

\(\displaystyle\frac{3x(x+3y)}{2}−\frac{2y(x−2y)}{3}\)

\(~=\displaystyle\frac{9x(x+3y)−4y(x−2y)}{6}\)

\(~=\displaystyle\frac{9x^2+27xy−4xy+8y^2}{6}\)

\(~=\displaystyle\frac{9x^2+23xy+8y^2}{6}\)

 

≪多項式と単項式の除法≫

(多項式)÷(単項式)は、多項式のひとつひとつの項を単項式でわってから通分します。

例1

\((9a^3−3a^2b+6ab^2)÷3a\)

\(~=\displaystyle\frac{9a^3}{3a}−\frac{3a^2b}{3a}+\frac{6ab^2}{3a}\)

\(~=3a^2−ab+2b^2\)

 

単項式の逆数をかけて計算することもできます。

例2

\(\displaystyle(2x^3+4x^2−8x)÷\left(−\frac{2}{3}x\right)\)

\(~=\displaystyle(2x^3+4x^2−8x)×\left(-\frac{3}{2x}\right)\)

\(~=\displaystyle\frac{(2x^3+4x^2−8x)×(−3)}{2x}\)

\(~=\displaystyle\frac{(-6x^3-12x^2+24x)}{2x}\)

\(~=−3x^2−6x+12\)

 

≪多項式の乗法-式の展開≫

多項式の積で表された式は、かっこをはずして単項式の和で表すことができます。これを「式の展開」といいます。

(多項式)×(多項式)を展開するときは、分配法則を使って計算します。

\((a+b)(c+d)\)

\(~=a(c+d)+b(c+d)\)

\(~=ac+ad+bc+bd\)

 

例1

\((2a+b)(a−3b)\)

\(~=2a^2−6ab+ab−3b^2\)

\(~=2a^2−5ab−3b^2\)

 

例2

\((x^2−x+3)(x−2)\)

\(~=x^3−2x^2−x^2+2x+3x−6\)

\(~=x^3−3x^2+5x−6\)

 

【乗法公式】

≪乗法公式≫

式を展開するときは、次の「乗法公式」を使うと効率よく計算ができます。

公式1(1次式の積)

\(~(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab\)

公式2(和の平方)

\(~(a+b)^2=a^2+2ab+b^2\)

公式3(差の平方)

\(~(a−b)^2=a^2−2ab+b^2\)

公式4(和と差の積)

\(~(a+b)(a−b)=a^2−b^2\)

 

例1(1次式の積)

\((x+3)(x+4)\)

\(~=x^2+(3+4)x+3×4\)

\(~=x^2+7x+12\)

 

例2(1次式の積)

\((x−4)(x+5)\)

\(~=x^2+(−4+5)x+(−4)×5\)

\(~=x^2+x−20\)

 

例3(1次式の積)

\((x−3y)(x−2y)\)

\(~=x^2+(−3y−2y)x+(−3y)×(−2y)\)

\(~=x^2−5xy+6y^2\)

 

例4(和の平方)

\((x+5)^2\)

\(~=x^2+2×x×5+5^2\)

\(~=x^2+10x+25\)

 

例5(和の平方)

\((2x+3y)^2\)

\(~=(2x)^2+2×(2x)×(3y)+(3y)^2\)

\(~=4x^2+12xy+9y^2\)

 

例6(差の平方)

\((2x−3y)^2\)

\(~=(2x)^2−2×(2x)×(3y)+(3y)^2\)

\(~=4x^2−12xy+9y^2\)

 

例7(差の平方)

\(\displaystyle\left(\frac{1}{2}a−\frac{2}{3}b\right)^2\)

\(~=\displaystyle\left(\frac{1}{2}a\right)^2−2×\frac{1}{2}a×\frac{2}{3}b+\left(\frac{2}{3}b\right)^2\)

\(~=\displaystyle\frac{1}{4}a^2−\frac{2}{3}ab+\frac{4}{9}b^2\)

 

例8(和と差の積)

\((2x+5)(2x−5)\)

\(~=(2x)^2−5^2\)

\(~=4x^2−25\)

 

例9(和と差の積)

\(\displaystyle\left(3a−\frac{1}{2}b\right)\left(3a+\frac{1}{2}b\right)\)

\(~=(3a)^2−\left(\frac{1}{2}b\right)^2\)

\(~=9a^2−\frac{1}{4}b^2\)

 

公式の導き方

公式1は、分配法則により導くことができます。

公式2~4は、公式1から導くことができます。

 

公式1

\((x+a)(x+b)\)

\(~=x(x+b)+a(x+b)\)

\(~=x^2+bx+ax+ab\)

\(~=x^2+(a+b)x+ab\)

 

公式2

\((a+b)^2\)

\(~=(a+b)(a+b)\)

\(~=a^2+(b+b)a+b×b\)

\(~=a^2+2ab+b^2\)

 

公式3

\((a−b)^2\)

\(~=(a−b)(a−b)\)

\(~=a^2+(−b−b)a+(−b)×(−b)\)

\(~=a^2−2ab+b^2\)

 

公式4

\((a+b)(a−b)\)

\(~=a^2+(b−b)a+b×(−b)\)

\(~=a^2−b^2\)

 

≪乗法公式の応用≫

そのままでは乗法公式が利用できない場合でも、公式が利用できるように同じかたちの式をひとつの文字とみなして計算します。

 

例1

\((a+2b+3)(a+2b−4)\)
\(~~~~~a+2b~\)をひとつの文字とみなす。(1次式の積)

\(~=(a+2b)^2−(a+2b)−12\)

\(~=a^2+4ab+4b^2−a−2b−12\)

 

例2

\((x+y−z)^2\)
\(~~~~~x+y~\)をひとつの文字とみなす。(差の平方)

\(~=(x+y)^2−2(x+y)z+z^2\)

\(~=x^2+2xy+y^2−2xz−2yz+z^2\)
\(~~~~~\)式を整理しておく。

\(~=x^2+y^2+z^2+2xy−2yz−2zx\)

 

例3

\((x−2y+3z)(x+2y−3z)\)

\(~={x−(2y−3z)}{x+(2y−3z)}\)
\(~~~~~2y−3z~\)をひとつの文字とみなす。(和と差の積)

\(~=x^2−(2y−3z)^2\)

\(~=x^2−(4y^2−12yz+9z^2)\)

\(~=x^2−4y^2−9z^2+12yz\)

 

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