因数分解
【因数分解】
1つの多項式をいくつかの単項式や多項式の積で表すことを「因数分解」といいます。このときのひとつひとつの単項式や多項式が「因数」です。
例1
\(ax+ay=a(x+y)\)
\(~~~~~a~,~x+y~\)が因数
例2
\(x^2−9=(x+3)(x−3)\)
\(~~~~~x+3~,~x−3~\)が因数
【因数分解の公式】
≪共通因数をくくり出す≫
\(ma+mb+mc=m(a+b+c)\) |
例1
\(2a^2b+6ab^2+4ab\)
\(~=2ab(a+3b+2)\)
\(~~~~~2ab~\)が共通因数
例2
\((a−b)x+(b−a)y\)
\(~=(a−b)x-(a-b)y\)
\(~=(a−b)(x−y)\)
\(~~~~~a-b~\)が共通因数
≪乗法公式を逆向きに使う≫
公式1 \(~x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)\) 公式2 \(~a^2+2ab+b^2=(a+b)^2\) 公式3 \(~a^2−2ab+b^2=(a−b)^2\) 公式4 \(a^2−b^2=(a+b)(a−b)\) (公式2、3のかたちの式を「完全平方式」といいます。) |
① \(x^2+px+q\)
\(x^2+4x+3~\)のように、\(x~\)の2次の項、1次の項、定数項でできている式は、公式1~3を使って因数分解をします。
\(x^2+4x+3~\)では、和が\(~4~\)、積が\(~3~\)になる2つの数を見つけます。
\(1+3=4~,~1×3=3~\)なので、2つの数は\(~1~\)と\(~3~\)です。
公式1で、\(a=1~,~b=3~\)とすればよいのです。
\(x^2+4x+3=(x+1)(x+3)\)
例1
\(x^2+5x+6\)
\(~~~~~\)和が\(~5~\)、積が\(~6\) → \(2~\)と\(~3\)
\(x^2+5x+6=(x+2)(x+3)\)
例2
\(x^2−x−6\)
\(~~~~~\)和が\(~-1~\)、積が\(~-6\) → \(2~\)と\(~-3\)
\(x^2−x−6=(x+2)(x−3)\)
例3
\(x^2−7x+10\)
\(~~~~~\)和が\(~-7~\)、積が\(~10\) → \(-2~\)と\(~-5\)
\(x^2−7x+10=(x−2)(x−5)\)
例4
\(x^2+8x+16\)
\(~~~~~\)和が\(~8~\)、積が\(~16\) → \(4~\)と\(~4\)
\(x^2+8x+16=(x+4)^2\) (完全平方式)
例5
\(x^2−12x+36\)
\(~~~~~\)和が\(~-12~\)、積が\(~36\) → \(-6~\)と\(~-6\)
\(x^2−12x+36=(x−6)^2\) (完全平方式)
② 平方の差
平方の差の式は、公式4を使って因数分解します。
例1
\(4x^2−25\)
\(~=(2x)^2−5^2\)
\(~=(2x+5)(2x−5)\)
例2
\(81a^2−100b^2\)
\(~=(9a)^2−(10b)^2\)
\(~=(9a+10b)(9a−10b)\)
③ 完全平方式
2乗のかたちになっている数や式があれば、公式2、3が使える場合があります。
例1
\(9x^2+30x+25\)
\(~~~~~9x^2 =(3x)^2\\~~~~~30x=2×3x×5\\~~~~~25=5^2\)
\(9x^2+30x+25=(3x+5)^2\)
例2
\(4a^2−28ab+49b^2\)
\(~~~~~4a^2=(2a)^2\\~~~~~28ab=2×2a×7b\\~~~~~49b^2=(7b)^2\)
\(4a^2−28ab+49b^2=(2a−7b)^2\)
【いろいろな因数分解】
公式が直接使えない場合でも、次のようなくふうをすることで公式が使える場合があります。
○共通因数をくくり出す。 ○同じかたちの式をひとつの文字とみなす。 ○次数の低い文字で整理する。 ○式の特徴をとらえる。 |
例1
\(2x^2y−6xy−8y\)
\(~~~~~2y~\)でくくる。
\(~=2y(x^2−3x−4)\)
\(~~~~~\)さらに因数分解できる。
\(~=2y(x+1)(x−4)\)
例2
\(−3ab^2+12a\)
\(~~~~~−3a~\)でくくる。
\(~=−3a(b^2−4)\)
\(~~~~~\)さらに因数分解できる。
\(~=−3a(b+2)(b−2)\)
例3
\(x^4−5x^2+4\)
\(~~~~~x^2~\)をひとつの文字とみなす。
\(~=(x^2)^2−5x^2+4\)
\(~=(x^2−1)(x^2−4)\)
\(~~~~~\)さらに因数分解できる。
\(~=(x+1)(x−1)(x+2)(x−2)\)
例4
\((a−b)^3+9(b−a)\)
\(~=(a−b)^3−9(a−b)\)
\(~~~~~a−b~\)でくくる。
\(~=(a−b)\{(a−b)^2−9\}\)
\(~~~~~\){ } の中は平方の差
\(~=(a−b)\{(a−b)+3\}\{(a−b)−3\}\)
\(~=(a−b)(a−b+3)(a−b−3)\)
例5
\(a^2b+a^2c−b^2c+ab^2\)
\(~~~~~c~\)で整理する。
\(~=a^2b+ab^2+a^2c−b^2c\)
\(~~~~~\)1項と2項は\(~ab~\)、3項と4項は\(~c~\)でくくる。
\(~=ab(a+b)+(a^2−b^2)c\)
\(~~~~~a^2−b^2~\)は、平方の差
\(~=ab(a+b)+(a+b)(a−b)c\)
\(~~~~~a+b~\)でくくる。
\(~=(a+b)\{ab+(a−b)c\}\)
\(~=(a+b)(ab+ac−bc)\)
例6
\(a^2−b^2−c^2+2bc\)
\(~~~~~a~\)で整理する。
\(~=a^2−(b^2−2bc+c^2)\)
\(~~~~~\)( ) の中は完全平方式
\(~=a^2−(b−c)^2\)
\(~~~~~\)平方の差
\(~=\{a+(b−c)\}\{a−(b−c)\}\)
\(~=(a+b−c)(a−b+c)\)