平方根
【平方根】
≪平方根とは≫
2乗(平方)すると\(~a~\)になる数を、\(a~\)の「平方根」といいます。 \(a~\)の平方根は、2つあります。正と負の2つです。
このうち、正のほうを「\(\sqrt{~~}\)(ルート)」という記号を使って、\(\sqrt{a}~\)で表します。負のほうは\(~−\sqrt{a}~\)です。
\(\sqrt{a}~\)は「ルート\(~a~\)」と読みます。
記号\(~\sqrt{~~~}~\)を「根号」といいます。
正の数も負の数も2乗すれば正の数になります。2乗して負の数になる数はないので、負の数の平方根はありません。
(高校の数学では、負の数の平方根も扱います。)
\(0^2=0~\)なので、\(0~\)の平方根は\(~0~\)です。
\(\sqrt{0}=0\)
注意
\(9~\)の平方根は、\(±3~\)ですが、\(\sqrt{9}=±3~\)ではありません。\(\sqrt{9}~\)は、\(9~\)の平方根のうち、正のほうです。\(9~\)の平方根のうち、負のほうは\(~-\sqrt{9}~\)です。
\(9~\)の平方根は\(~±3\)
\(\sqrt{9}=3~,~−\sqrt{9}=−3\)
\(\sqrt{9}≠±3\)
\(a>0~\)のとき \((\sqrt{a})^2=a~,~(-\sqrt{a})^2=a\) \(\sqrt{a^2}=a~,~\sqrt{(−a)^2}=a\) |
例
① \((\sqrt{5})^2=5\)
② \((−\sqrt{5})^2 =5\)
③ \(\sqrt{25}=5\)
④ \(−\sqrt{25}=−5\)
⑤ \(\sqrt{1.44}=1.2\)
⑥ \(−\sqrt{0.09}=−0.3\)
⑦ \(\displaystyle\sqrt{\left(−\frac{1}{4}\right)^2}=\sqrt{\frac{1}{16}}=\frac{1}{4}\)
⑧ \(\left\{−\sqrt{(−7)^2}\right\}^2=\left(−\sqrt{49}\right)^2\\=(−7)^2=49\)
≪平方根の大小≫
\(\sqrt{a}~\)と\(~\sqrt{b}~\)の大小は、\(a~\)と\(~b~\)の大小と同じです。
\(a>0~\)、\(b>0~\)のとき \(a<b~\)ならば\(~\sqrt{a}<\sqrt{b}\) \(\sqrt{a}<\sqrt{b}~\)ならば\(~a<b\) |
例
\(9<25~\)だから\(~\sqrt{9}<\sqrt{25}\)。逆も同じ。
平方根を含む数の大小は、その数を2乗して比べることができます。
正の数の大小は、その数を2乗しても変わらない。 負の数の大小は、その数を2乗すると逆になる。 |
例1
\(4.1~\)と\(~\sqrt{18}~\)の大小を比べる。
\(4.1^2=16.81~,~(\sqrt{18})^2=18\)
\(4.1^2<(\sqrt{18})^2~\)なので\(~4.1<\sqrt{18}\)
例2
\(-2.6~\)と\(~-\sqrt{7}~\)の大小を比べる。
\((-2.6)^2=6.76~,~(-\sqrt{7})^2=7\)
\((-2.6)^2<(-\sqrt{7})^2~\)
よって、\(~-2.6>-\sqrt{7}\)
※ 負の数の大小は、2乗すると逆になります。
【有理数・無理数】
≪有理数・無理数≫
数の中で、整数の比で表すことができる数を「有理数」といいます。つまり、\(a~,~b~(b≠0)~\)を整数とするとき、\(\displaystyle\frac{a}{b}~\)のように、分数のかたちで表すことができる数のことです。
また、有理数でない数のことを「無理数」といいます。無理数は、分数のかたちで表すことができない数(整数の比で表せない数)です。
例
\(\sqrt{3}~,~\sqrt{7}~,~\displaystyle\sqrt\frac{2}{3}~\)などの平方根は無理数です。
円周率\(~π~\)も無理数です。
\(\sqrt{4}~,~\displaystyle\sqrt\frac{9}{25}~\)などの平方根は、分数のかたちに表すことができるので有理数です。
\(~~~\displaystyle\sqrt{4}=2=\frac{2}{1}~,~\sqrt\frac{9}{25}=\frac{3}{5}\)
≪数の分類≫
数は、次の図のように分類することができます。
また、次の図のように小数のかたちにより分類することもできます。
有理数を小数のかたちにすると、割り切れるものと割り切れないものがあります。割り切れるものを「有限小数」、割り切れないものを「無限小数」といいます。
例
有限小数
\(~\displaystyle\frac{1}{4}=0.25\)
\(~-\displaystyle\frac{3}{16}=−0.1875\)
無限小数
\(~\displaystyle\frac{2}{3}=0.666⋯\)
\(~\displaystyle\frac{5}{27}=0.185185⋯\)
\(~\displaystyle\frac{4}{165}=0.02424⋯\)
上の例のように、同じ数字が繰り返される無限小数を「循環小数」といいます。有理数は、有限小数か循環小数のいずれかです。
循環小数では、循環する部分の初めと終わりの数字の上に「・」を付けて表すことがあります。
\(~0.666⋯=0.\dot{6}~\)
\(~0.185185⋯=0.\dot{1}8\dot{5}~\)
\(~0.02424⋯=0.0\dot{2}\dot{4}\)
無理数も無限小数ですが、循環小数ではありません。
【発展】
中学の数学で学ぶ「数」は上の2つの図にあるように、有理数と無理数ですべてですが、高校の数学では、このほかに、「虚数(きょすう)」という数を学びます。虚数は、平方すると負になる数です。虚数に対して、有理数と無理数をあわせて「実数(じっすう)」といいます。また、実数と虚数をあわせて「複素数(ふくそすう)」といいます。
【平方根の計算】
≪平方根の乗法・除法≫
根号の中に平方因数(\(4=2^2~,~9=3^2~,~\)・・・など)があるときは、根号の前に出すことができます。
\(a>0~,~b>0~\)のとき \(\sqrt{a^2b}=a\sqrt{b}\) |
平方根の乗法や除法の計算は、次の公式を利用します。
\(a>0~,~b>0~\)のとき \(\sqrt{a}\sqrt{b}=\sqrt{ab}\) \(\displaystyle\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}=\sqrt{\frac{a}{b}}\) |
例1
\(\sqrt{8}=\sqrt{4×2}=\sqrt{2^2×2}\)
\(~=2×\sqrt{2}=2\sqrt{2}\)
❢❢ \(2×\sqrt{2}=2\sqrt{2}~\)のように、乗法の記号「×」は省略することができます。
例2
\(\sqrt{48}=\sqrt{16×3}=\sqrt{4^2×3}\)
\(~=4×\sqrt{3}=4\sqrt{3}\)
例3
\(\sqrt{2}×\sqrt{10}=\sqrt{2×10}\)
\(~=\sqrt{20}=\sqrt{2^2×5}=2\sqrt{5}\)
例4
\(\sqrt{3}×\sqrt{8}×\sqrt{12}\)
\(~=\sqrt{3}×2\sqrt{2}×2\sqrt{3}\)
\(~=\sqrt{3}×2×\sqrt{2}×2×\sqrt{3}\)
\(~=4×\sqrt{2}×(\sqrt{3})^2\)
\(~=4×\sqrt{2}×3\)
\(~=12\sqrt{2}\)
例5
\(\displaystyle\sqrt{18}÷\sqrt{8}=\sqrt{\frac{18}{8}}\)
\(~=\displaystyle\sqrt{\frac{9}{4}}=\frac{\sqrt{9}}{\sqrt{4}}=\frac{3}{2}\)
例5(別解)
\(\displaystyle\sqrt{18}÷\sqrt{8}=\frac{\sqrt{18}}{\sqrt{8}}\)
\(~=\displaystyle\frac{3\sqrt{2}}{2\sqrt{2}}=\frac{3}{2}\)
(\(~\sqrt{2}~\)で約分する。)
例6
\(2\sqrt{48}÷\sqrt{21}×3\sqrt{14}\)
\(~=\displaystyle\frac{2×4\sqrt{3}×3\sqrt{14}}{\sqrt{21}}\)
\(~=\displaystyle\frac{24\sqrt{42}}{\sqrt{21}}\)
\(~=\displaystyle24\sqrt{\frac{42}{21}}\)
\(~=24\sqrt{2}\)
≪平方根の加減乗除≫
根号の部分を文字とみなして、文字式と同じように計算します。
平方因数は根号の外に出すと、計算しやすくなる場合があります。
例1
\(3\sqrt{5}+4\sqrt{5}=7\sqrt{5}\)
例2
\(\sqrt{50}-\sqrt{8}\)
\(~=5\sqrt{2}-2\sqrt{2}=3\sqrt{2}\)
例3
\(\sqrt{3}(3\sqrt{2}+2\sqrt{3})\)
\(~=\sqrt{3}×3\sqrt{2}+\sqrt{3}×2\sqrt{3}\)
\(~=3\sqrt{6}+2\sqrt{9}\)
\(~=3\sqrt{6}+6\)
例4
\((\sqrt{24}-2\sqrt{3})÷\sqrt{6}\)
\(~=\displaystyle\frac{\sqrt{24}}{\sqrt{6}}-\frac{2\sqrt{3}}{\sqrt{6}}\)
\(~=\displaystyle\sqrt{\frac{24}{6}}-2\sqrt{\frac{3}{6}}\)
\(~=\displaystyle\sqrt{4}-2\sqrt{\frac{1}{2}}\)
\(~=\displaystyle2-\frac{2}{\sqrt{2}}\)
\(~=2-\sqrt{2}\)
≪分母の有理化≫
分母に無理数を含む式は、分母と分子に同じ式(または同じ数)をかけて、分母が有理数になるように変形することができます。これを「分母の有理化」といいます。
\(\sqrt{3}=1.73~\)であることがわかっているとき、
\(\displaystyle\frac{1}{\sqrt3}~\)の値を求めるのは、どちらの計算が簡単でしょう。
\(~~~\displaystyle\frac{1}{\sqrt3}=\frac{1}{1.73}=?\)
\(~~~\displaystyle\frac{1}{\sqrt3}=\frac{\sqrt{3}}{3}=\frac{1.73}{3}=?\)
分母に無理数が含まれていると、その数のおよその値を計算するときに、割り算が複雑になります。そのために分母を有理化して、効率よく計算できるようにします。
分母の有理化 ① \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{a}}=\frac{\sqrt{a}}{(\sqrt{a})^2}=\frac{\sqrt{a}}{a}\) \(~~~~~~\)分母、分子に\(~\sqrt{a}~\)をかける。 ② \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{a}+\sqrt{b}}\) \(~~~~~~~~=\displaystyle\frac{\sqrt{a}-\sqrt{b}}{(\sqrt{a}+\sqrt{b})(\sqrt{a}-\sqrt{b})}\) \(~~~~~~~~=\displaystyle\frac{\sqrt{a}-\sqrt{b}}{a-b}\) \(~~~~~~\)分母、分子に\(~\sqrt{a}-\sqrt{b}~\)をかける。 ③ \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{a}-\sqrt{b}}\) \(~~~~~~~~=\displaystyle\frac{\sqrt{a}+\sqrt{b}}{(\sqrt{a}-\sqrt{b})(\sqrt{a}+\sqrt{b})}\) \(~~~~~~~~=\displaystyle\frac{\sqrt{a}+\sqrt{b}}{a-b}\) \(~~~~~~\)分母、分子に\(~\sqrt{a}+\sqrt{b}~\)をかける。 ②、③の分母の計算は、和と差の積の公式の応用 \(~(\sqrt{a}+\sqrt{b})(\sqrt{a}-\sqrt{b})\) |
例1
\(\displaystyle\frac{\sqrt{5}}{4\sqrt{3}}=\frac{\sqrt{5}\sqrt{3}}{(\sqrt{3})^2}=\frac{\sqrt{15}}{12}\)
例2
\(\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{5}+2}\)
\(~=\displaystyle\frac{\sqrt{2}(\sqrt{5}-2)}{(\sqrt{5}+2)(\sqrt{5}-2)}\)
\(~=\displaystyle\frac{\sqrt{10}-2\sqrt{2}}{5-4}\)
\(~=\sqrt{10}-2\sqrt{2}\)
例3
\(\displaystyle\frac{2\sqrt{2}+\sqrt{3}}{2\sqrt{2}-\sqrt{3}}\)
\(~=\displaystyle\frac{(2\sqrt{2}+\sqrt{3})^2}{(2\sqrt{2}-\sqrt{3})(2\sqrt{2}+\sqrt{3})}\)
\(~=\displaystyle\frac{8+4\sqrt{6}+3}{8-3}\)
\(~=\displaystyle\frac{11+4\sqrt{6}}{5}\)